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「ににん」
県指定重要文化財(工芸品)
清淨光寺銅鐘
総高一六七センチ、口径九二センチ
鋳造は、銘文によると延文元年(一三五六)。遊行
八代渡船上人の時にあたる。遊行寺開山以来、ようや
く時宗が隆盛期に達した時代であった。
治工は、中世の関東地方で活躍した鋳物師の物部氏
の一人、光連と考えられる。この他の光連の遺作には
伊勢原市日向城坊の暦応三年(一三四O)銘梵鐘、
鎌倉市東慶寺蔵の観応元年(一三五O)銘梵鐘がある。
この銅鐘は、五段五列の乳の配列、上帯の飛雲文下
帯の蓮華唐草文、煌座の蓮華文などに物部様式の特徴を持
一つが、竜頭部や宝珠の表現にはすでに形式化がみえる。
銅鐘の銘文は、藤沢市伝来の梵鐘の中で最古のもの
であり、中世の時宗の姿や遊行寺を有する当時の藤沢
の様子をつたえる貴重な史料である。
この銅鐘は、永正十年(一五三)に後北条氏によ
って小田原へ持ち去られ、陣鐘として使用された。さ
らに足柄下郡の寿昌寺に移転されたが、江戸時代初め
の寛永三年(一六二六)、遊行寺の檀徒の手により取
り戻され、再びここに設置されたものである。
平成二年三月十三日指定
藤沢市教育委員会
清浄光寺鐘楼 遊行寺 |