ocr-generated 阿倍仲麻呂公
遣唐留学生に選ばれた阿倍仲麻呂公(数え
年十七歳)と吉備真備公(二十歳 晩年右大
臣)たちは、ここ春日の神地で壮行神事を受
けて出発、課程履修後は仲麻呂公のみとあれ
て唐朝廷に入り、要職を歴任したのでした。
三十三歳時の帰国願いは玄宗皇帝に許され
ず、五十三歳の時ようやく一時帰国を認めら
れ、蘇州出港前夜停泊中の船内で詠んだのが
この歌です。喜びに満ちあふれております。
ところが乗船は難波して安南(ベトナム)
に漂着、辛うじて唐首都長安(西安市)に戻っ
たものの、遂に帰国の夢むなしく七十歳で
亡くなりました。この歌は、故国日本をしの
び続けた悲しみの歌になってしまいました。
「後に仲麻呂公には祖国貢献の功労に報い、
右大臣相応の正二位が追贈されております。
「奈良大学教授 上野誠説参考奉納者文責
阿倍仲麻呂公 望郷の思い |
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