慰霊塔 建記
祖国の栄光と興隆を願い、一身を国に捧げた崇高な精神といさおしは、平和の礎として永遠に敬仰してやまないものがあります。
今や我が国は、自由で平和な文化国家として繁栄し、郷土奄美もまた祖国分離の苦難をのりこえ目ざましい発展をみるに至りました。
思うにこの平和と繁栄の今日あるのは、幾度かの国難に際し、酷寒炎暑の地或いは国内において国土防衛のために身を挺して散華した殉国者の尊い犠牲の賜に他ならず、痛恨を覚えつつも唯々感謝の念を深くするばかりであります。ちなみに明治維新以来の奄美出身殉国者軍人・軍属・準軍属及び一般邦人等その数八千余名にのぼります。
時恰も第二次世界大戦後33年、奄美群島祖国復帰35周年を迎えるに当り、これら御霊を合祀してお慰めし永久にその遺徳を語り継がんものと、郷友同志相図って全国の奄美同胞はじめ関係諸賢の浮財を募り、ここ景勝の地赤崎の丘にこの 慰霊塔 を建立することになりました。
文明栄えてまた一瞬にして人類を絶滅するに足る軍事力の有する今日、再び戦禍を我が子孫に及ぼすことのないよう群島民こぞって殉国者の御霊の御前に固くお誓い申し上げるとともに、その愛国の至情を讃え、もってこの塔を恒久平和祈念の象徴として後世に遺さんとするものであります。
謹んで哀悼の誠を捧げ、御霊の御冥福と世界の平和を祈念いたします。
昭和54年8月15日
奄美群島殉国者慰霊塔建立委員会