うんさ大湧の碑
この一帯は、かつて黄金色の稲穂がなびく、長閑な田園風景が広がっていました。この水田の水は、この地にあったいくつかのワク(湧)から供給され、農家にとっては米作の基となる大切な泉でした。
このワクの北側には露出した大きな石灰岩とユウナの木が生い茂っていて、その木陰の下で農作業の手を休め、涼をとり心身ともに安らげる空間でもありました。
しかし、昭和55年に土地区画整理事業が開始され、その周辺の環境は宅地へと変容をとげ、昔の面影はなくなってしまいました。幸いなことに、唯一この「うんさ大湧」だけは、区民の深い思いによって、後世にその姿を留めることができました。
このワク(湧)は幾時代にもわたり区民の生活に潤いと活力を与えましたが、今は、いにしえの自然風景や生活模様を偲ばせる縁(よすが)としての「区民の歴史の水源」と云うことができます。
2012年1月吉日(辰年)
宇茂佐区