仲村渠樋川 (国指定重要文化財:平成7年6月27日指定)
仲村渠樋川(なかんだかりひーじゃー)は、仲村渠集落の共同用水施設で、沖縄の伝統的な石造井泉(せきぞうせいせん)を代表するものである。
古くはうふがーと呼ばれ、水場に木製の樋(とい)をすえた程度の施設だったようだが、大正元年(1912)から翌年にかけて、津堅島 (つけんじま)の石工 により琉球石灰岩 などを用いて造り替えられた。その施設はいきががー(男性用水場)、いなぐがー(女性用水場)、広場、拝所 (はいしょ)、共同風呂 、かーびら(石畳 )によって構成され、敷地北側からの湧水 を貯水槽に貯え、水場へ流して使用されていた。昭和30年代に簡易水道が敷設(ふせつ)されるまでは、飲用、洗濯、野菜洗い、水浴びなどの生活用水として利用されていたが、最近は主に農業用水 に利用されている。
しかし、先の沖縄戦 で共同風呂周辺は破壊され、土で埋められたため、昭和39年に広場にはモルタルが塗られ仮の改修がなされた。更に、平成16年に実施された復元工事により、大正2年(1913)当時の樋川の状態に復元され敷地全体の景観が整えられた。同時に、いきががーの芋洗い場(いもあらいば)や広場の石敷き、共同風呂も復旧整備がなされた。共同風呂については、主に発掘調査により発見された出土品(北側の石柱二本・石壁の一部、水槽、洗い場床、五右衛門風呂 (ごえもんぶろ)の一部)や近辺の類例などをもとに復元がなされた。また法面保護のため、共同風呂北側及び広場東側に擁壁(ようへき)工事が施(ほどこ)され整備された。
玉城村教育委員会
平成17年3月31日設置
仲村渠樋川 |